「Breaking Man」「MOONSHOT」TRAILER


2023/05/26(金) ¥3,000(本体価格)+税 / 12"Vinyl EP / MUSICMINE / MMDS23001EP


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MUSIC VIDEO


MOONSHOT

Artwork : TOMOHIRO MATSUDA
Animation & Director : HARUNOBU MITSUI(Sgb)


Breaking Man

Director : HARUNOBU MITSUI(Sgb)


“「Breaking Man」「MOONSHOT」” SPECIAL INTERVIEW


interviewer : 石井 恵梨子

アルバム『weak』から3年、ツインドラム体制となったWRENCHが今また驚きの進化を遂げている。楽曲のキモであるリズムがビルドアップされ細分化もされることで、楽曲はさらなる高みへと到達。12インチシングルとして登場する新作「Breaking Man」「MOONSHOT」。
どちらも5拍子、気を抜くと一瞬で迷子になりそうな展開なのだが、わかる/わからないで言うなら圧倒的に前者。頭より体に訴えかけるエネルギッシュな熱量や、混沌を突き抜けて爆発するカタルシスはWRENCHらしいとしか言いようがない喜びに満ちている。こんな奇怪な曲でなぜハイテンションなロックが成立するのかを考えてみても、それはWRENCHだから、としか言えないのである。30周年を超えてなお続くポリリズム探究の旅。5人にたっぷり語ってもらった。



MASATOがいなかったらもう誰にも叩けなかった


一一5人になっての初インタビューです。なぜ今ツインドラム体制になったのか、そこから教えてもらえますか。
MASATO:あの、『weak』が出る時にちょうどMUROCHINさんが(ライヴ活動を)お休みするっていうことで、僕がヘルプで参加することになって。そのまましばらくライヴを続けて、MUROCHINさんがそろそろ帰ってくるタイミングが2020年の春くらい。具体的に覚えてるのは「4月のギグで俺が最後だ」みたいな話だったんですけど。でもその前からコロナが来て、ほとんどのバンドが配信に切り替えていく中で「ウチもおまけで、ツインドラムで配信ライヴやろうか」みたいな話があって。そのリハーサルを重ねていく中で「二人でもイケんじゃん?」ってノリになったんですね。
SHIGE:うん。MUROCHINがまた復帰するとはいえ「MASATO、お疲れさま! ありがとね〜」とは言えない気持ちもあって。ウチの曲はほんとリズムから母体を作るんで、もう一人のリズム、もう一人ぶんの熱量が増えることで可能性が広がるんじゃないかって。ライヴは即興で、俺が指揮者的なポジションで動いて……あれザッパの真似なんですけど(笑)、そこでもいろんなアレンジが効いたりするし。これからさらにいろいろできるなって。
一一配信ではSHIGEさんが二人のドラムに指示出して、バンド内にものすごい熱量が生まれていて。客いなくても成立するんだなぁ、と。
SHIGE:そうそう(笑)。これはもう足していくしかないなと。またMASATOはアレンジも上手いんですよ。合わせてくれる。MUROCHINのグルーヴ、癖とかも含めて叩いてくれるし。
MUROCHIN:理解力がすごい。俺がABNORMALSを辞めたあとにMASATOが入って、俺が叩いてた曲も全部叩くんだけど、それ聴いた時「全部コピーされてる。すごい理解されてんな、俺」って思えて。だから、ややこしい曲しかない『weak』ってアルバムを、トラで叩いてくれるのはMASATOしかいないと思ってましたね。で、俺が戻るタイミングでバイバイっていうのはもったいない、こんな変な曲をツインドラムでやれるのはちょっと面白いなと思って。相談したらみんなも「いいね」って。
MATSUDA:ただ……別に引き抜いたわけじゃないんだけど、MUROCHINがウチに入るときもABNORMALSからWRENCHに来て、MUROCHINはABNORMALSを辞めて。そのあとABNORMALSに入ったMASATOが、またさらにWRENCHに来ることになって。COMIくん(Vo)「お前ら何人取ってくんだ?」みたいに怒ってたらしくて(笑)。俺、直接言ったもん。「もうほんっとごめんなさい!」って。
SAKAMOTO:俺もヘルプの段階でCOMIさんにメールした。「ちょっとの間、申し訳ないけどお借りします」って。そう言ってたのに「正式メンバーになるってどういうことだ?」みたいな(笑)。
SHIGE:「メンバー乗っ取られた!」ってなるよね(笑)。まぁまぁ、COMIくんとはもういい関係になってます。
MATSUDA:WRENCHの新年会も一緒にやったしね。
一一MASATOさんは、もともとWRENCHをどう見ていたんですか?
MASATO:僕は、ABNORMALSに入ってからWRENCHと対バンするようになって、初めてちゃんと見て、なんか……すごい……。
SHIGE:正直に言っていいよ?
MASATO:すごい変なバンドじゃないですか。最初は90年代の曲をやる20周年のライヴだったんだけど、まぁ特殊というか、普通が嫌だっていうのは本人たちの中にも一個あると思うんです。そこがすごく好きになって。あとMUROCHINさんとはもともと距離が近かったから、ヘルプで手伝うのも全然抵抗なかった。なんだったら勉強になるとも思ったし。で、自分が入ってみても、すごいバンド、パワフルなバンドだなって思いますね。
一一叩きにくいなと思ったりしないですか?
MASATO:叩き……にくいですね(笑)。曲がまずわかんない。最初はほんとにわかんなくて大変でした。
MATSUDA:でも『weak』のリリパ、MASATOがいなかったらもう誰も叩けなかったと思う。誰にも頼めないし、あそこでしばらく活動休止になってたと思うんですよ。だって頼んでからライヴまで1ヶ月しかなかったもん。
一一1ヶ月で『weak』の曲を全部? すごい。
MASATO:俺覚えてます。2月の中旬くらいに連絡があって「3月にもうライヴが決まってる。アルバムの半分くらいはやりたいと思ってる」って言われて。そのあともいっぱいライヴがあって。
SHIGE:入ってるスケジュール全部キャンセルっていうのも厳しいし。ほんとに頼み込んで、叩き込んでもらった。
MUROCHIN:俺が休むことでバンドごと休ませてしまうのは、ちょっとないなぁと思ってたし。MASATOにしか頼めなかったし、そしたらやってくれたし、全然できる。『weak』の曲の中には、ちょっとライヴでやるの難しいなって思うものがあったんですけど、それもMASATOはやれるから。「あ、こんなふうにできるのか」っていう発見もありましたね。
一一MASATOさん、バークリー音楽大学を出ているとか。
MASATO:あの、卒業はしてないんですけど、行ってました。はい。
一一なんでも叩けるタイプですか。
MASATO:いやっ、そうでもないです。普通にバークリー行ってる人たちより……僕はもうちょいバカっぽいタイプ(笑)。
MUROCHIN:でも(専攻は)ジャズだったんでしょ?
MASATO:それを志して行ったんだけど、自分にはそれがなかったのを途中で知った感じです。だから今こういうバンドやってる。
MATSUDA:とはいえ、ここの4人の、単に中学生でロックにハマりました、みたいな出自からすると、もうMASATOはすごくしっかりしてる。
MASATO:そう言われると、ありがたいです。
SAKAMOTO:俺らはダメ出しを甘んじて受けてる感じ(笑)。
SHIGE:「はい、わかりました!」つって。ライヴでもね、今の曲ってたとえばモニターの返しがダメだったり、ハイハットが聴こえないとか、そういう細かいことひとつで迷子になるものが多いから。
MUROCHIN:そういうとき、MASATOを見るんです。
SAKAMOTO:みんなでMASATOを見る(笑)。
MASATO:俺はまぁ、大丈夫なんで(笑)。
一一なんとも頼もしい。
MUROCHIN:またMASATOはオヤジキラーなんですよね。
MASATO:今38歳ですけど、俺、50代の人としかバンドやってないんすよ。
SHIGE:珍しいよね? 俺だったら耐えられない。
MUROCHIN:いや、俺もだよ?
SAKAMOTO:そうだよねぇ(笑)。
MASATO:いや、結局よく遊ぶのがこの世代で。こういうロックバンドの世界を知ったのもこの世代の人たちだから、なんかそのままオジサンたちと。いっぱいバンドがいるじゃないですか。一番バンドが多かった世代の、最後の人たちなのかなって。
一一オルタナやパンクのバンドは確かに多いけど、MASATOさんから見て、WRENCHは特にどこが面白いですか?
MASATO:んー、ずっとミクスチャーが根幹にあると思うんですけど、昔はラップと激しいサウンドみたいなものだったのが、どんどんシンセサイザーと生バンドのミクスチャーになって、今もツインドラムのミクスチャーみたいな。そうやって混ぜていくところが格好いいなって今でも思います。
SHIGE:足し算しかできないんだな。
MASATO:引きはしない。割りもしない。
MUROCHIN:合ってるね。
MASATO:割るのは酒だけっていう。
SHIGE:上手いねぇ!(一同笑)

踊りやすいほうがいいけど、わかりづらいほうがいい


一一そして今回は新曲が2曲。『weak』からわりと早い展開で、去年4月からライヴで披露してましたよね。
SHIGE:単純にMASATO入ってツインドラムになって。今あるのは全部4人編成の曲ばっかりだから、「なんか新しいの作らないとね」って。
SAKAMOTO:「試しに3、4曲くらい形にしよう」って話してて。それで作り始めたら、まぁ2曲しかできなかったけど。
一一2曲とも理解するのに時間がかかりました。最初は踊ろうとしてもなぜかズレていく。ようやく5拍子なのかって気がついて。
MATSUDA:今回、両方5拍子なんだよね。先に「MOONSHOT」は俺が元ネタを持っていって。「Breaking Man」が来た時は「あれ? キュウちゃん(SAKAMOTO)も5拍子じゃん」と思った。
SAKAMOTO:あぁ。でも「Breaking Man」は、最初の2分半くらいまではけっこうストレートなつもりで作ったんですよ。5拍子だけどちゃんとノレる感じ。前の「KIRAWAREMONO」があまりにも怪奇すぎて、もうちょいノレる曲があればいいなぁと思って作ったんですね。で、5拍子のリフ作って持ってって、サビくらいまではできてて。したら「こんな普通じゃつまんない」って言われて(笑)。それで「もっと来い、もっと来い!」って感じでみんなで間奏を作っていくとあんな感じに。
一一最初って「5拍子でやりたい」が先ですか? それとも「格好いい曲を作りたい」なのか。
SAKAMOTO:や、「格好いい曲を作りたい」ですね。5拍子の感じとか、レコードの針が飛ぶようなあの感覚はずっと好きで。昔から好きで散々やってるし、『weak』もけっこう変拍子で。
SHIGE:それこそ1stの『BLACK HOLYDAY』とかも、サイケデリック感、変拍子とかを盛り込んで、混沌としてる曲が多くて。そういうのが昔から大好きだから。奇妙とか奇数とか、「奇」が合うんだよ。不可解な感じ。
一一昔も今も、それを求めてます?
SHIGE:求めてるんじゃない? じゃないと面白くない。結局は面白いか面白くないかだと思うし。
MUROCHIN:よく言ってますよ。「わかりづらいほうがいいよ」って。「そりゃ踊りやすいほうがいいけど、でもわかりづらいほうがいい」みたいな。俺は「そうかぁ?」と思って。
SAKAMOTO:でもMUROCHINも「Breaking Man」最初に聴いた時「これ当たり前すぎるね」って言ってたし。
MUROCHIN:言ったね(笑)。「当たり前すぎる」とは言ったけど、でも「当たり前でもよくない?」って。そしたら「うーん、でもなんか足りない気持ちでやるのもなぁ」って。
SHIGE:そう。そこで妥協するとね、必ずライヴでやらなくなるんですよ。それがもうわかるんで、とことんやるしかない。とことんアレンジ考えて練った曲が、やっぱ今でも生き残ってるから。
一一WRENCH特有のやり方ですよね。全員でぶつかり合うし、引っ張るリーダーとそれに付いていく人、という構図がない。
SAKAMOTO:そういうのはない。
SHIGE:縄文時代ですね。弥生、農耕じゃない。弥生時代はリーダーがいたから短命になっていくんだよね。ウチは狩猟採集系。平和で一万年くらい続いた縄文時代。リーダーがいない。
MATSUDA:岡本太郎だ。
一一みんなで走って獲物を追いかけていく。ある程度全員が苦労して練らないと、WRENCHのいい曲は生まれないですか?
MATSUDA:そうしないと熱量が生まれないのかもしれない。
MUROCHIN:だからぶつかるんですよねぇ。
SHIGE:毎回くっちゃべってね。「俺は嫌だ! 俺はやりたくない!」「じゃあどうする!」みたいな。
MASATO:昨日ライヴでSOBUTのHIDEさんに言われたんですよ。(SHIGEとSAKAMOTOとMATSUDA)3人が話してたでしょ? HIDEさん通りかかって驚いたらしくて。「あのさ、彼ら、すごいアグレッシヴな言葉で話してるけど大丈夫?」って言われて「いや、あれ大丈夫っす。いつもなんです」。
SHIGE:へぇ! そんなアグレッシヴな言い方になっちゃってるんだ? もう殴り合いの喧嘩始まるんじゃねぇか、みたいな?
MASATO:そう見えたみたい。「俺もアグレッシヴなほうだと思ってたけど、俺より全然すごい。大丈夫なの?」って言ってた。
一一メンバーの会話の激しさ、最初はMASATOさんも驚くものでした?
MASATO:まぁ「みんなズカズカ言うなぁ」とは思った。でも見てたら、そういう人たちなんだってわかってくる。後腐れがない人たち。
MATSUDA:スタジオ終わって「カンパーイ」って言ったら終わりだし。
MUROCHIN:とにかく飲むもんね。こんなに毎回飲んでるバンド、見たことない(笑)。
SHIGE:でも持ちつ持たれつっていうか、当たり前のことだけど、自分にないものを持ってるから、みんな。そこでひとり萎縮しててもよくないしね。毎回毎回いかにバーンと自分を自由に出せるか。そこはこのメンバー、いいバランスだと思う。松ちゃんみたいな性格が5人いたらさ……。
MUROCHIN:それバンドになんない(笑)。
MATSUDA:なんないね。俺も嫌だ。
SHIGE:かといって俺が5人いたら……。
MATSUDA:バンドになんない(笑)。
SHIGE:1秒後に解散してる(笑)。
SAKAMOTO:そこはバランスですね。

信号を打ち続けてる。まだ見ぬ人たちと友達になれるかなって


一一付き合いが長くなると、だんだん衝突にも疲れて、平穏にやり過ごすことを覚えることってありますよね。
SHIGE:あー、なるほど。
一一あとは曲も、そんなに奇抜じゃなくていい、スタンダードでもいいんだって落ち着いていくバンドはけっこう多くて。
SHIGE:その発想がまったくないですね、ウチは。
SAKAMOTO:スタンダードがいいとか……考えないね。自分でリフ作って曲を持っていくとき、最初のリスナーがメンバーじゃないですか。そこでまず「いい」って言ってもらいたいし、納得してもらいたい。
MATSUDA:うん。それ大事。
SAKAMOTO:お客さんに「いい」って言ってもらう前に、まずメンバーに「いい」って言われたい。スタンダード的な発想とか、ストレートだとすぐ拒否されるから。まぁ「Breaking Man」で最初そう言われたのはちょっと心外なんだけど(笑)。でも、それであの間奏になっていった。
SHIGE:「けっこう普通だね」つって、そこからスイッチが入っちゃった。
一一つまり、毎回みんなで驚きたいし、驚かされたい。
SHIGE:そうそう。驚きたいとか感動したいとか。映画でもストレートな娯楽じゃなくて、スリリングで難解なほうが好きだったり。
MATSUDA:もうみんな耳も目も、文化的なところは肥えていくから。そこに対して自分たちでも驚きたい、更新したいっていうのがあるんだと思う。
SHIGE:結果、すごいデカい世界観ができていくなら、そこが終着点。みんなでこねくり回してそこに到達していく。
SAKAMOTO:そうだね。最終的な世界観はみんな共通したイメージがあると思う。
MATSUDA:そのためにもやっぱりハードルは高くしたいの。やっぱり世間に出すアート、芸術作品なわけだから、発信するプライドみたいなものはあると思う。ただ楽しんでライヴやって続けていけりゃいいわけじゃない。
MUROCHIN:過剰に求めてますよね、そういうこと。俺は「もうこれぐらいでいいな」って思うんだけど「まだ来るか、まだ来るのか?」って思う。それって他のバンドにないことで、でも、そういう曲のほうが自分でもずっと聴けるものになるし。
SHIGE:うん。モールス信号みたいな。
一一モールス信号?
SHIGE:情報をただ伝えるっていうのはビジネス的な発想だけど。そこに遊び心とかアートを入れて、なんかものすっごい面白いモールス信号を打ち続けてる。それで自分たちでも「よくわかんないけど、うぉー!」ってなってる感じ。その気持ちがなくなって「まぁこんなもんでいっかぁ」ってなったら、終わっちゃいますよね。
一一誰に向けて信号打ってるんですか?
SHIGE:なんか地球外生命体がいるんじゃないかなぁって思いながら、NASAが宇宙に向けていっぱい信号を打ってるみたいな。俺、ああいうの大好き。まだ見ぬ人たちと友達になれるかなぁ、みたいな。そういう感覚に近しい。
MASATO:新たな人に伝える、みたいな。
一一面白い。SHIGEさんには「あらゆる音楽はもう出尽くしている」という発想がないんですね。
SHIGE:や、もうトシなんで、最近流行ってるラッパーとか全然知らないですけど。でも出尽くしたっていう感覚はないかな。
一一新しい何かがある、ロックは更新できるという期待と共にミクスチャーは始まったと思うんです。とはいえ、いろいろ足したところでそんな凄いことはもう起きない、みたいな空気が00年代には生まれていく。でもWRENCHはダンスミュージックに向かったり、変拍子やツインドラムを取り入れることで、今も「何かがあるんじゃないか」っていう挑戦を続けている。
MATSUDA:それはあると思う。ロックを更新したい。もともと、自分たちが始めた頃ってロックとヒップホップが混ざったミクスチャーがあって、そのあとダンスミュージックが入ってきて、ポストロックとかもあって。色々取り入れつつ、ダメなものは挫折しつつ、それでも更新してきた感じは自分たちの中にあるんですよ。ただ、それって大革命が起きるようなものじゃなくて。今ウチらがやってることって……更新はしてるかもしれないけど、ものすごく重箱の隅をつついてる感じ(笑)。炭鉱の隅っこをずっと掘り続けてる。
SHIGE:革命なんか起きない(笑)。砂金だよ、砂金探し。
MATSUDA:ものすごいピンポイントをつついてつついて、ちょっとだけ金が見えたら「出た出た出た!」って喜んでるみたいな(笑)。
SAKAMOTO:「よっしゃあ!」って(笑)。
SHIGE:これで革命なんてね、無理!
MATSUDA:起きないね。ほんと客観的に見るとそんな感じだと思う。
一一でもそれが相変わらず面白いんだと。
MATSUDA:自分たちはすごく面白い。聴いてる人、こんなの聴いたことないって言ってくれる人は、たぶんその感覚を共有してくれる人だと思う。「あ、そんなとこに金あったの? ここまでよくつついたねぇ」みたいな。
一一リスナーとして面白いのも結局そこですね。「この展開、どうなってんの?」みたいなところも含めて。
SAKAMOTO:そこをわかってくれたら嬉しい。
MATSUDA:みんな炭鉱で真っ黒になって楽しんでる。酒飲みながら。そういう労働者の音楽(笑)。

どんどん巻き込んでいけばいいんだよ


一一ただ、どんなに形を変えようとも、バンドの放つエネルギーとか爆発力、簡単に言うと「イェーッ!」って叫びたくなる熱量が変わらない。それは凄いことだと思います。
MATSUDA:そこが一番、自分たちも楽しいところだから。
SAKAMOTO:最終的にそこに行くのが、共通のイメージになってる。
MATSUDA:とにかく爆発すればいい、っていうか。昔みんな爆竹鳴らしてたじゃん、ジャパコアとか見て。あの感覚なのかな?
MUROCHIN:え、80年代の話(笑)?
SHIGE:でも爆竹って火のつき方も変拍子だもんね。パッ、パンバン!パパパッ!みたいな。
MATSUDA:ただ爆発するより、変拍子で、引っ張って引っ張ってから爆発するほうがパワーある。
MUROCHIN:ジリジリジリジリとね。爆発しないと見せかけて、忘れた頃に爆発する、みたいな。
一一とはいえ、近年みたいな複雑な曲で爆発するのは難しくないですか?
SHIGE:難しいし、それができたときの達成感もある。得体の知れないものがひとつになると、ものすごいパワーになると思いますね。
SAKAMOTO:今回の2曲、わりとそんな感じだと思いますよ。
一一MASATOさんからすると、このバンドのリズムの作り方、構築の仕方はどう見えるんですか?
MASATO:あー、でも変拍子ではあるんですけど、けっこうギターだったりベースだったりは、僕からしたら歌えるフレーズ。歌えるならできるじゃんっていうのがあって。二人はけっこう歌いやすいフレーズを作ってくれるんで、まぁみんなが思ってる以上に、実は演奏するとそんなに難しくない。
MATSUDA:だって別にね、音楽的な素養があるわけじゃないし。ウチらができることレベルってそんなに難しいことじゃないと思う。
MASATO:いや、みんなにとっては難しいことなんじゃないですかね。いっぱいあると思いますよ。
MUROCHIN:まぁでも素養がないとはいえ、変なことばっかり30年やってりゃね。
SHIGE:サグラダファミリアみたいな(一同笑)。
SAKAMOTO:終わらないんだ(笑)。
一一なんでこうなっていったのか、もはや誰にもわからない(笑)。
SHIGE:そう、ずーっと作っちゃってる。
MATSUDA:それよりもアレに近くない? 郵便局員の人が作ったシュヴァルの理想宮。サグラダファミリアはちゃんとした建築家だけど、シュヴァルは素人なのに自分の家をゴテゴテ作っていって。そっちに近い気がする。
SHIGE:結局は縄文土器みたいな? あれもワケわかんないもんね。目ぇ三つあったりして。
MUROCHIN:宇宙人っぽいもんね。
MATSUDA:どちらかと言うと、ウチらがやってる奇妙さって、アウトサイダー・アート的なものだと思う。ちゃんと技術がある人が凄いものを作ってるわけじゃなくて。そういうのも今回のジャケットに入ってる。
SAKAMOTO:あぁ、この絵がね。
一一このシングルを布石に、次のアルバムについても考えますか?
MUROCHIN:常に。生きてるうちにやりたいなぁって思ってるけど。時間かかりますからね、アルバム作るの。
一一ちなみに今、未発表の新曲は?
SAKAMOTO:ない(笑)。
SHIGE:ただ、作りかけて、なーんか途中で挫折してる曲はいっぱいある。
MATSUDA:いざ「じゃあここで作りましょう」って決まったらね、やりたいことはいっぱい自分の中にあるんだけど。でも……またあの揉め事を乗り越えるんだなぁって思う(笑)。
SAKAMOTO:まぁまぁまぁ。それでもやりたいですよ。今は『weak』の時より空気はいいから。前回は酷かったもんね。
MATSUDA:『weak』は大変だった。
一一世代の違うMASATOさんが入って、空気が緩和されたところも?
SHIGE:それはある。自分たちでずっと話してても、言い合ってるだけで判断できないから。それで、『サンデーモーニング』の張本さんみたいに「どう思う? MASATO」ってよく聞いてるもんね。
MASATO:……「喝!」
一同:ははははははは!
一一いいですね(笑)。これだけキャリアのあるバンドがここに来て5人になるって、すごく面白いこと。
MUROCHIN:そうだね。まさかツインドラムになると思わなかった。
SHIGE:そう。こっから……さらに増える可能性も。
MATSUDA:別に候補がいるわけじゃないけど。何が起こるかわかんない。
SAKAMOTO:ツインボーカルになるかもしれない。
MASATO:ついに……ついにCOMIが?
一同:はははははははははは!
MASATO:「何人取ってくんだ?」とか言ってたら、自分も飲み込まれちゃった(笑)。
SAKAMOTO:「俺もWRENCHになっちゃった!」。
SHIGE:「お前らどうなってんだー?」。
一一ははは! WRENCHブラックホール説!
MATSUDA:新年会出てたくらいだからね。
SHIGE:いいんじゃない? COMIちゃん入れようよ。どんどん巻き込んでいけばいいんだよ。全部増しで。それで行こう!

RELEASE LIVE!!!

下北沢CLUB Que
2023.6.17(SAT)
"EDGE of CHAOS"
12"Vinyl EP Release Party!!!

LIVE
MELT-BANANA
黒電話666(PROTOTYPE018)
WRENCH
open 18:15 / start 19:00
ADV 3,000yen+1DRINK / DOOR 3,500yen+1DRINK
Ticket:
・Que店頭 4/13 16:00~
・LivePocket [https://t.livepocket.jp/e/que20230617] 4/14 10:00~
・イープラス [https://bit.ly/3ZLZOq5] 4/14 10:00~
・ローチケ[https://l-tike.com/order/?gLcode=74358]4/14 10:00~
info Que 03-3412-9979

2023.5.30(TUE)
WRENCH x MURDER CHANNEL presents
『Breaking Man / MOONSHOT』RELEASE SPECIAL@DOMMUNE!!!


■第一部
WRENCH, 名越藤丸, ブライアン・バートンルイス, 梅田航, 石渡のりお(生活芸術), 宇川直宏,
梅ヶ谷雄太
■第二部(LIVE & DJ)
WRENCH , yumeo, Miyuki Omura

2023.5.30(TUE) 20:00-24:00
Ticket 3,000yen
<渋谷PARCO9F:SUPER DOMMUNE>

前半は秘蔵映像と豪華なゲストを招いてWRENCHの偉大な歴史を掘り下げます!
そして後半からはWRENCHのライブに加えてMURDER CHANNELから近々作品のリリースを控えているyumeoとMiyuki Omuraも参戦!
5月30日は是非DOMMUNEにアクセスを!

●観覧希望の方はinfo@wrench.jpまでメールにて名前と枚数をお伝え下さい



 
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